大会長挨拶
このたび第60回の日本生体医工学会大会長という大役を仰せつかり、身が引き締まる思いです。一方で、本会も自分の年齢に近い回数を重ね、生体医工学の発展のために、ともに歩んできたことを思うと一種の親近感さえ覚えます。60歳は還暦ということで、再度原点に立ち返って、生体医工学の今後の進むべき方向を見出だす機会にしたいという意味をこめて、「生体医工学の再生と新生に向けて」をテーマに掲げました。
一方で、世界は、COVID-19によるパンデミックという未曽有の危機に見舞われ、様々な困難の克服に向けて、人類の英知と結束の強さが試されようとしています。
生体医工学の分野に関しては、検査機器、画像診断機器、人工呼吸器など治療機器の充実が、罹患者の生命維持と回復という本来の役割だけでなく、医療崩壊の回避、社会経済の維持の点でも、極めて重要であることが、身に染みて感じる機会となりました。その点では、本学会の会員の皆様の研究が、この感染症の防止、診断、治療技術の向上に大きく貢献し、医療システムでのブレークスルーをもたらす可能性を感じました。
2020年度は、日本生体医工学会でも第59回の岡山大会はオンライン開催となり、京都では平安時代に疫病除けの祭りとして始まった祇園祭も、「山鉾巡行」の中止を余儀なくされました。一方で、原因が明確である以上、感染防止の対応策が定着するに伴い、徐々に状況は回復に向かうことを確信しています。
2021年6月には、ウィルスとの戦いによる閉塞状態から抜け出し、皆様と京都の地に一堂に会して、研究について熱く語れる大会となるよう鋭意準備いたしますので、ぜひ、多くの皆様のご参加をお待ちしております。